高額な医療費がかかった場合の公的保障

「高額医療費の制度」とは

現在、健康保険の自己負担額は、本人・家族とも3割ですが、この自己負担分として支払った医療費が高額だった場合、「高額療養費の制度」があります。これは、どんな病気やケガのときでも利用できるので、大変にありがたい制度です。この制度が適用される際の条件は次の4つです。

「高額医療費の制度」の条件

①1ヶ月(1日~末日まで)
②1つの病院・診療所
③同じ傷病
④自己負担額の上限を超えたこと

条件にある「1カ月間」とは、診療を受けた月ごとという意味になります。たとえば3月10日~4月9日まで入院していたとしても、3月10日~3月31日までの自己負担額と4月1日~4月9日までの自己負担額と分けて計算します。対象となるのは保険扱いの部分だけで、「差額ベッド代(公的医療保険で決められた室料との差額)」や「入院中の食事代」「先進医療の技術料」などの保険対象外の費用は含まれません。また、入院にかかった費用と通院にかかった費用は別扱いになります。なお、平成18年10月1日より、健康保険法等の一部を改正する法律において、高度先進医療は「先進医療」として再編されました。この制度を利用した場合、高額の医療費を支払うような状況になっても、ある程度出費の上限が見込めるというメリットがあります。

同一世帯で同じ月に、自己負担が2万1000円以上になった人が2人以上いる場合はそれぞれの医療費を合算することができます。

平成19年4月から高額医療費の給付制度が変わった

これまでは、医療機関の窓口で支払っている医療費の額が自己負担限度額を超えたときは、高額療養費の申請をすることで、後日、差額の支給を受ける方式でした。平成19年4月1日からは、医療機関の窓口での支払いが限度額までとすることが可能になりました。

制度適用のためにはまず認定書の申請を

この制度の適用を受けるには、医療機関での窓口の支払いの際に、認定証を提示することになります。認定証の交付に際しては、前ページの図のように、事前に市区町村の窓口への申請が必要です。被保険者の所得区分を認定し、これを証明する書類が被保険者に交付される流れです。申請に関しては、病医院の領収書の日付から2年間さかのぼって申請することもできます。