公的保障で保険を補う

「公的保障」で足りない分を保険で補う発想で

まず「公的保障」に関して話をしていきます。生命保険の本なのに、どうして公的保障の話から? と不思議に思われる方もいるかもしれません。

実は、生命保険を考える際に、公的保障の知識は必須といえるものなのです。生命保険の加入や見直しを考えた人が最初に思うのは、「一体いくらの保険に入っておけばよいのだろう」ということでしょう。

この「一体いくら」を“必要保障額” といいます。必要保障額( 必要な保険金額) は、「万が一のことが起こったときに必要になるお金」から、「公的保障や企業の保障、貯蓄などすでに準備ができている分」を差し引いて計算します。

人によっては公的な保障で生命保険に必要な部分をカバーできたりします。公的保障でカバーできればその分、生命保険は少なくて済むわけです。生命保険は、必要保障額の分だけ契約すれば大丈夫です。生命保険によって、公的保障と貯蓄の足りない部分の補完をするという発想です。

公的保障が十分で必要な貯蓄がある家庭においては、高額な生命保険は必要ない可能性だってあります。必要保障額に関しては、100の家庭があったら、100のパターンがあるといえるでしょう。

大切なことは、生命保険を考える場合には、公的保障・収入や支出・貯蓄額・家族構成・家族の考え方を正確に踏まえた上で「我が家の必要保障額」を考えていくということです。

「公的保障」と「私的保障」がある

さて、「万が一のとき」といってもさまざまなケースが想定できます。まず考えられるのは、病気やケガ・死亡などによって収入減、あるいは無収入になってしまうなどの経済的なピンチ。

この場合にも、健康保険や年金保険といった公的保障などでカバーできる範囲と、個人的に医療保険や生命保険など私的保険で対応すべき範囲を理解しておく必要があります。

就業形態や年齢によって差はありますが、次の表を参考に自分にとっての社会保険制度をしっかり把握して、状況別にすでにどの程度カバーできているのかを確認しておきましょう。

そもそも「公的保障」は法律に基づいて病気やヶが・死亡・障害・失業・老齢などの場合、最低限の保障をすることを目的にしています。一方、「私的保険」は、自らの選択で任意に利用する保険です。

経営主体は民間の保険会社で、保険の種類としては、生命保険や自動車保険、火災保険などになります。日本郵政公社が行う郵便局の簡易保険や、JA 共済なども任意の保険になります。

社会保険の仕組みと保険料率

毎月の給与明細を見るとわかるように、サラリーマンの場合、社会保険料や税金が自動的に給料から引かれていますにれを「天引き」といいます)。

社会保険料の半分は会社( 事業主) が負担、労災保険は全額会社( 事業主)負担です。収入の多い人は、支払う社会保険料の負担は大きく、収入の少ない人は社会保険料の負担は軽くなります。