保険をかけすぎないポイント

なお、保険料だけで手取り収入の1割を超えるご家庭の場合には、もう一つ、必ずチェックするポイントがあります。それは、月払保険料と貯蓄額(積立額)のバランスです。

月払保険料よりも毎月の貯蓄額(積立額)が少ない場合は、保険の見直しを提案しています。なぜなら、保険は、貯蓄ではまかなえないほどの大きな支出となるまさかの事態に備えて活用するべきものだからです。

保険は、貯蓄がたくさんある人には本来は不要なもので、逆に、貯蓄が少ない人ほど保険を活用するのが合理的です。したがって、軸となる貯蓄に回す月々の積立額よりも、保険料の方が多い状況はまずいわけです。

なお、「30歳代・男性なら○万円が当たり前」といったセールストークで保険契約したものの、保険料が払えなくなったというご相談も少なくありません。ここで特に認識しておきたいのが、収入から捻出できる保険料にも限界があり、保険で不安な事態のすべてをカバーするのは難しいという現実です。

家計収支の面から負担できる保険料が限られている以上、優先順位をつけて、必要な保障から確保する視点はとても重要です。将来の「万が一」の事態に備えた保険料負担のせいで、今の生活が苦しくなる状況は矛盾しています。各ご家庭の家計収支の状況に合わせて判断されてはいかがでしょうか。

そもそも、保険会社から提案される必要保障額というのは、たいてい大きい額で提案されがちなものです。なぜなら、万一のときに「お金が足りない!」とクレームを言われるよりは、「たくさん払ってくれてありがとう」と言われる方が良いからです。

保険料を負担できるなら、少しでも大きい額で契約してほしいと考えるのは当たり前のことなのです。だから、保険をかけすぎないポイントは、自分で判断基準を持って、額を抑え目にすることに尽きます。

シミュレーションや試算を活用する場合は、その数字の根拠となるデータなどをしっかり確認しましょう。自分に不要な額(例えば、子どもの結婚資金援助など)が見込まれていないかといった確認の手聞を惜しまないことが、以後の保険料節約につながります。