貯蓄性がある生命保険にはどんな種類があるのか

予定利率が受取額に与える影響は大きい

予定利率とは、保険会社が一定の運用益を見込んで、その分をあらかじめ保険料から割り引いている割引率のことで、保険料を算定する3つの要素の1つです。予定利率は契約時に約束されるもので、予定利率が高いと保険料は安くなります。

つまり、同じ保障であっても予定利率の高いときに契約した保険は保険料が割安なので、契約者にとってはお得な保険といえるのです。この予定利率を生命保険会社破綻の前に引き下げることができる法律ができました。

予定利率が引き下げられると、その契約によって異なりますが、満期保険金や年金受取額などが削減される可能性が高いのです。自身の契約がどの程度の予定利率か知っておきましょう。

学資保険で本当に学費は貯められるのか

学資保険や子供保険の加入目的の多くは子どもの学費を貯めることですが、実際にはあまり有利な貯蓄方法とはいえません。たいていの場合、子どもが生まれてから大学入学時までなど長期の契約になります。その間、加入した時点での予定利率で固定されるわけですから、今のような低い予定利率では貯蓄としては魅力的とはいえないでしょう。

学資保険や子供保険は、「保険」ですから、保障を付加することもできます。たとえば、その子どもが入院した場合には入院給付金が受け取れたり、契約者である親が死亡した場合に、その後の保険料負担がなくなったり育英年金が受け取れたりします。学資保険や子供保険に加入する場合には、まず保障をどう考えるかを決めましょう。

保障が付加されていることで、実際に負担する保険料の総額よりも、受け取る祝い金や満期保険金の総額のほうが少ないということもよくあります。本当に学費を貯めることが目的であれば、現状では、保険よりも貯蓄のほうが有利だといえます。

アカウント型の生命保険は貯蓄も保障も備えているのか

「アカウント型生命保険」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。定期付き終身保険に代わって、大手国内生保の主力商品として販売されたのが、このアカウント型の保険です。

アカウント型とは、保険の中に積立口座(アカウント)があるものO このアカウントが貯蓄機能となる部分で、保険料はいったんこのアカウントに入金されます。契約者は、そのお金を使って保障を購入していくというわけです。具体的には、定期や医療、ガン、介護などの特約が選択できます。

こういった特約はたいてい更新型になっていますから、更新すると年齢が上がっているので保険料も上がります。そこは従来の定期付-き終身保険と同じわけです。また、保険料の払込満了時には、残っている積立金を利用して終身保険や終身医療へ移行することができます。その場合、この保険のアカウントにある程度積み立てておかなければ移行できませんので注意が必要となります。

積立利率は変動します。イメージとしては、通常の変動金利タイプの銀行口座にお金を積み立てて、そこから保険料を自動引き落としで支払っているのと同じです。そういう意味では、貯蓄機能も保障機能も両方兼ね備えた保険といえるでしょう。

しかし、加入する時点でいくらの保障を契約しなければならないといった制約もあるので、積立口座と保険を一体にしたことがメリットだとは言い切れません。お金は銀行口座で積み立てて、保障は必要な分を必要な期間のみ保険会社から購入する、と割り切ったほうがわかりやすいでしょう。

変額終身保険も使い方によっては有利

変額保険とは、保険金や解約返戻金の額が、運用実績によって変動するタイプの保険です。変額保険には、終身型と有期型の2種類がありますが、ここでは終身型についてお話ししましょう。「変額保険」というと悪いイメージのある方も多いに違いありません。「お金が増えます」の言葉を信じて加入したのに、増えるどころか減ってしまったという話をよく聞くから……といった理由からでしょう。しかし、この変額終身保険は使い方によってはかなり有利なのです。

変額終身保険の最大のメリットは、予定利率が高めに設定されていること。前述したように、予定利率が高いということは保険料の割引率が高いわけですから、同じ保障を買うにしても割安な保険料になるということです。

解約返戻金は運用実績によって変動するので、当然マイナスになることもあります。しかし、保障として考えれば、基本保険金を下回ることはありません。保障が目的で加入するのであれば、通常の終身保険に加入するよりも、変額終身保険のほうが予定利率が高い分、割安な保険料になるので、メリットがあるのです。

つまり、変額終身保険の魅力は保険料の安さです。ただし、保険会社によって取り扱っているところ、取り扱っていないところがありますし、予定利率も異なりますので、契約に際してはしっかり比較検討することが大切となります。