年金タイプの「個人年金保険」にはどんな種類があるのか

個人年金保院の実力と特徴

「個人年金保険」とは、契約したときの予定利率が固定の年金タイプの保険です。現在のような低い予定利率のときはあまりおすすめできませんが、以前の予定利率が高かった頃の契約は、保有されていたほうが有利です。

個人年金保険では「基本年金」といって、運用結果等にかかわらず保険会社で保証している部分があります。これは契約時に約束されるものです。

この基本年金の受け取りの形には大きく3つあります。1つが「定額型」で受取期間中の基本年金額が一定のものです。もうlつは「逓増型」で年金額が毎年増えていくタイプです。そして「前厚型」といって受取開始当初の一定期間は年金額を多く設定してあるタイプがあります。

なお、年金受取開始前に被保険者が死亡した場合には、死亡給付金が支払わることになっています。個人年金保険は年金の受取方法によって以下のようにいくつかの種類があります。

個人年金1 有期年金保険

5年・10年・15年・20年など一定期間、年金を受け取ることができます。ただし、保証期聞がついていない場合、年金受取期間内に被保険者が死亡した場合には、それ以後の年金は支払われませんので、注意が必要です。

個人年金2 確定拠出年金

有期年金と同様に5年・10年・15年・20年など一定期間、年金を受け取ることができます。ただし、確定年金の場合には被保険者の生死に関係なく、年金が支払われます。つまり、年金受取期間中に被保険者が死亡した場合には、残存期間の年金またはその時点での年金現価相当額の一時金が遺族に支払われるということです

個人年金3 終身年金保険

一生涯(被保険者が生存している限り)、年金を受け取れます。年金受取開始後、被保険者が死亡するまで年金が支払われますから、損得でいえば、長生きすれば得ですが、受取開始後すぐに死亡した場合には払込保険料よりも受取金額のほうが少なく、損になることもあります。

個人年金4 保証期間付き終身年金保険

終身年金保険に保証期聞が付加されたタイプで、保証期間内は生死に関係なく年金が支払われ、その後も生きている限りは一生涯年金が支払われます。保証期間中に被保険者が死亡した場合には、保証期間の残存期間の年金またはその時点での年金現価相当額の一時金が遺族に支払われます。保証期間後に被保険者が死亡した場合には、その時点で年金の支払いは終わります。

個人年金5 夫婦年金保険

終身年金保険の一種で、夫婦のどちらかが死亡しでももう一方が生きている限り年金が支払われます。夫婦2人共が死亡した場合には年金の支払いは終わります。ただし、保証期間付き夫婦年金保険では、保証期間内に夫婦2人が死亡した場合は、保証期間の残存期間の年金、またはその時点での年金現価相当額の一時金が遺族に支払われます。

外貨建て個人年金保険の実力と特徴

「外貨建て個人年金保険」とは、名前の通り、外貨建てで運用する年金保険です。現在のように圏内が低金利の状況では、外貨建ての運用のほうが利率は高くなっています。しかし、外貨建てで運用するわけですから為替リスクは当然存在します。

保険料は一時払いで、受け取りは年金、あるいは一時金。それを円建てか外貨建てで受け取ることを選択できるようになっています。運用期間が終了した時点では、年金原資は外貨建てになっています。

たとえばその段階で、契約時よりも円安であれば円建てで受け取れば為替差益が得られますし、反対に円高であれば為替差損が出てしまいます(運用益を考慮しない場合)。円高になっていたら、円建てで受け取らず、そのまま外貨建てで受け取れば為替差損にはなりません。外貨で使うこともできますし、円安になるのを待って円に換金することもできます。

また、運用期間中の途中での解約については、その時点までの期間と金利(外貨建て債券での運用が中心となっていて、金利の動きが債券価格に影響があるため)に応じて、解約返戻金の金額は異なります。場合によっては元本割れしますので、注意が必要です。

なお、運用期間中に被保険者が死亡した場合、死亡保障としては元本保証されています。たとえその時点での解約返戻金が払込保険料を下回っていても、死亡した場合には払込保険料が返ってくるということです。

変額個人年金保険の実力と特徴

「変額個人年金保険」は、投資型の年金商品です。一般的な生命保険は一般勘定という生命保険会社の大きな財布で運用されますが、この変額年金など投資型の商品は特別勘定という別の財布で運用する商品になっています。特別勘定の中身は保険会社によって異なります。

国内外の債券や株式等に投資するファンド(投資信託)がいくつか準備されており、その中から契約者が運用商品を選択して運用していきます。受け取る年金額はその運用実績によって決まりますが、会社によっては基本年金額を保証するタイプの変額年金保険もあります。

運用期間中の商品選択では、複数の商品を組み合わせることが可能です。ただし、ファンドが1本のみという保険会社もあるので確認が必要です。さらに、ファンドの変更もすることができます。その回数や手数料についても保険会社によって異なります。

自分でしっかり運用したい人は、ファンドの種類が揃っていて、ファンドの変更が頻繁にでき、手数料が安い保険会社で契約することをおすすめします。また、運用期間中に被保険者が死亡した場合、死亡保障は元本保証されています。一般的には死亡した場合の死亡給付金の最低保証額が払込保険料になっています。

もちろん、死亡時点での運用成績がよい場合にはその金額が死亡給付金として支払われます。商品によっては、死亡保障の最低保証額が運用によってアップしていく仕組みになっているものもあります。

インフレになった場合、個人年金はどうなるのか

今後、物価が持続的に上昇する状態、すなわちインフレとなったらどうなるでしょう。インフレになると、お金の価値が目減りします。具体的にいえば、30年前にはお米10キロ2000円だったのが、現在はその2倍の4000円程度になっています。

つまり、2000円で買えたものが4000円払わないと買えないわけですから、お金の価値が半分になったといえるのです。もちろん物価といっても、商品によって上がっているもの、下がっているもの、変わらないものがありますが、いくつかのものをピックアップして全体的に見て「物価」は判断されます。

物価の上昇率(インフレ率)よりも貯蓄の利回りが上回れないと、実質的にその貯蓄の価値は目減りしてしまいます。これをインフレリスクといいます。個人年金保険の場合、変額年金保険や予定利率変動型年金保険等以外は、利率が固定になっています。しかも若いうちに加入したものについてはかなり長期間で固定金利になるので、その期間にインフレが起こる可能性も高まり、インフレリスクが高くなります。

払込保険料よりも受取金額は多くなるけれど、将来受け取るときのお金の価値で比べると損していることになる可能性があるというわけです。ですから、予定利率が低いときに個人年金保険のような長期固定金利商品はおすすめできません。反対に予定利率が高いときには積極的に検討してみましょう。