誰でも入れる保険、告知なしで入れる保険って?

医師による診査や告知が不要の「無選択型保険」

「無選択型保険」というのは、保険の販売方法をあらわした名称です。生命保険は加入前に医師による診査や告知・問診
等の手続きが必要
ですが、それを必要としない保険が「無選択型保険」です。

「無選択」というのは、医師による診査や告知がない、つまり健康に不安のある方も含めて加入者を選択しない商品、という意味です。
無選択型保険は、終身保険医療保険があります。

(1)無選択型 終身保険

文字通り、終身保険の【加入者無選択タイプ】です。「はいれます終身保険」(アリコジャパン)「これからだ」(アメリカンホーム保険)などはテレビCMでもお馴染みです。通常の終身保険同様、死亡保障に特化したものになります。

(2)無選択型 医療保険

文字通り、医療保険の加入者無選択タイプです。「やさしい保険」(太陽生命)のように、終身保険だけでなく入院・手術保障や無事故給付金も設定し、医疲保険として販売しているものもあります。

保険加入を諦めていた方にとっては画期的な保険といえます。保険募集人とのやりとりがわずらわしい、という方にも適した販売方法です。

保障が低く、若くて健康な人には不向き

無診査ですから、ほとんどの会社では80歳まで健康に問題のある方を含めて加入できる間口の広い保険になっています。ただし、健康状態を問わない販売になるため、保険料は高めです。

多くの保険会社では40歳以上、通常は60-70歳をターゲットとした商品です。それには理由があります。

この保険の支払い方法は、損保ジャパンひまわり生命の一時払いプランなどの例外を除けば月々の終身払いです。ということは、長生きすればするほど支払額を差し引いた保険金受取額が少なくなります。しかも肝心の保障額もそれほど高くありません。死亡保険金額が(病気死亡で) 300万円(アリコジャパン、アフラックなど)、ないしは500万円(損保ジャパンひまわり生命)など、死亡保障としては高額ではありません。

たとえば月払いを単純に計算すれば、1ヶ月1万円ずつ支払っていたとしても、加入して300ヶ月(25年)を超えて生きていたら、保険料負担のほう病死時の保険金受取額よりも多くなります。日本人の平均寿命を考えると、60歳ぐらいにならないと加入の価値がないのです。

以上のように健康で比較的年齢も若いうちは加入を勧められる保険ではなしたとえ加入に適した人でも、貯蓄や年金のある方がそこから保険料を支払うのなら、他の金融商品を使って利殖にシフトした方が賢明です。

保険加入の際に記入する告知書とは?

告知書にウソや不備があったら保険金は支払われません

生命保険会社が、保険商品の申し込みを受諾しない場合……それは、引き受けたらリスクが大きすぎると判断したケースです。入ったらすぐに亡くなってしまいそうな人は保険会社のほうで断るわけです。

つまり、生命保険会社は、リスクが一定基準以内に収まるであろう申し込みだけを残して契約をします。生命保険会社が申込者について判断するとき、次の3つのリスクを総合的に査定します。

  • ①身体上の危険
  • ②環境上の危険(職業や仕事の内容)
  • ③道徳上の危険(モラルリスク)

このうち、「①身体上の危険」を具体的にチェックする方法のlつが告知書です。告知書とは保険に加入する際に、自分の身体の状況について保険会社に申告する書類のことです。またこの告知書だけで身体上の危険を査定する場合は、保険会社が引き受ける死亡保障額について年齢別に限度を設けています。

医療保険の場合は、告知書扱いのみだと入院の保障日額の限度は1万円です。しかし、このように告知書だけで本当に身体上の危険を十分に判断できるでしょうか?答えはNOです。

一定の金額を超える死亡保障保険金額を設定する場合などは、保険会社の指定した医師の診査や半年以内に被保険者が受診した人間ドックの資料などを参考に判断をします。このように身体上の危険を判断するとき、医師の診査情報をもとにしたそれは当然、告知書のみの判断よりはるかに精度の高いものとなります。

医師の診査による契約は保険会社にとっては告知書扱いの契約よりも安心のできる契約なのです。だからといって安い保険料の契約に高いコストはかけられません。

そこでどうするか? 告知扱いの契約に関しては、みなさんが保険金や給付金を請求した時点で、保険会社は初めて契約した時期までさかのぼり調査を始めるのです。

その際に保険会社が頼りにするのが、申し込み時点にみなさんが記入し署名した告知書の内容と、保険金・給付金請求のときに添付する医師の診断書です。告知義務違反の疑いがある場合は、診断書をもとに過去のカルテを調査することになります。現行の医師法24条では、カルテの法定保存期間は5年と定められていますが、医療裁判で5年以上過ぎたカルテが争点となっている場合もあります。

これからはカルテの電子化が進み、各医療機関でのカルテ保存期間も長期化するでしょう。今までの紙のカルテだと保存書庫から探し出すのが大変で、したが、電子カルテなら保存スペースもとらず、検索して見るのも容易になります。

生命保険会社にとっては好都合な環境が整ってきています。生命保険会社は契約時に、「ご契約のしおり・約款、重要事項説明書、告知について」などの書面で、念入りに告知義務違反について説明しています。

つまり、「告知にウソや不備があったら、保険金や給付金は支払いませんよ」ということで、加入のときは間口を広げておいて、保険金などを出すときには間口をグッと狭めているわけなのです。その傾向は今後ますます強くなっていくのではないでしょうか。