共済保険と生命保険の違いって?

共済よりも生命保険が高くなる理由

生命保険会社と生命共済制度との違いはなんでしょうか?生命保険会社は、不特定多数の人々を対象とし、生命保険商品を販売して、利益を上げることを目的とした企業です。

一方、生命共済制度は、限られた行政地域内・職域内などで、利益を追求することなく、相互扶助の生命共済システムの維持管理をすることを目的としています。このように運営手法が異なりますが、それぞれが提供している保障内容が同じであれば、みなさんが支払う保険料や掛金は同じでなくてはおかしいはず。

しかし実際には、生命保険会社の保険料のほうが高くなっているのです。その最大の理由は、次の2点です。

① 生命保険会社は、不特定多数の人々に保険商品を販売することを目的とするために、使う経費が多い。

② 始めから組み込まれている利益が多い。

この2点はともに、「生命保険会社は利益を上げることを目的としている」ことに理由があります。生命保険会社もー企業ですから、より多くの利益を求めようとするのは当然のことです。

これは、家庭菜園で育てられ無人の販売所で売られているキュウリと、デパートの食品売り場で売られているキュウリとの違いのようなものです。どちらで購入しでもキュウリはキュウリ、味に違いはありません。

デパートが利益を追求する分だけ、デパート購入のほうが値段は高くなるのです。よく名前の知られている生命保険会社の商品なら、なんとなく安心だと思い込んでいる人もいるかもしれません。

しかしそれは、デパートの包装紙に対する安心感と同様のものです。キュウリを食べることを考えるなら、つまり保険に加入するという本来の目的を考えるなら、掛金の安い共済制度を選択すべきではないでしょうか。まず、自分の回りにどんな共済制度があるかを調べ、そして、その種々の保障内容を検討してみることを、強くお勧めします。

こくみん共済や県民共済の『共済』とは?

共済制度とはどのようなものなのか?

『共済事業』とは、「私たちの生活を取り巻くさまざまな危険(生命の危険や自然災害、交通事故など)に対して、協同組合などの組合員がお互いに助け合う目的でつくった保障制度です」社団法人日本共済協会がホームページで説明しています。

その文中にある「協同組合」とは、「共通の願いを持つ人々が、出資金を出し合うなどの一定の手続きを経て自主的に集まり、事業を行う、営利を目的としない組織です」と説明されています。つまり、「出資金を出した人たちが、様々な危険に対して助け合う」というもので、この「危険に対して助け合う」のは、保険でいう「相互扶助の精神」であり、表現に違いこそあれ、中身は同じことです。

保険と共済が決定的に違う点はというと、それは「出資金」の有無です。保険の場合、出資金は必要ありません。つまり、保険料以外に保険会社にお金を支払うことはありません。しかし、共済に加入するには、協同組合などに加入し、その加入の際には出資金を支払う必要があるということです。

気になる出資金ですが、全労済の場合、1口100円で、新しく組合員になる方には10口1000円以上の出資金をお願いしているとのことです。出資金の有無を除けば、基本的な保障内容はほとんど変わりません。この出資金は、組合を脱退される際に手続きをすれば返金されます。

生命保険と共済の違いは?

共済事業は、集団のメンバーに対して、非営利目的で運営されます。このため、もうけが出れば、掛金の割戻金という形で加入者に還元されますし、もともとの掛金も安めです。

共済に入るには、まず、その集団のメンバーにならなければなりません。これに対し、とくに契約者を限定せず、営利を目的として運営されるのが生命保険事業です。

性別、年齢などの条件で保険料が変わる生命保険と違い、共済の掛金は基本的に定額です。もしものときもらえるお金が少額で、どちらかというと、見舞金的な意味合いが強い共済に対し、自分に必要な保障を考え、もしものときに生活に困らないだけの保障を準備するのが、生命保険といえます。

●生命保険と共済の違い
  生命保険 共済
対象 不特定多数 職業や、地域によってくくられる特定の集団
主体 生命保険会社 共済
事業の目的 営利目的 非営利目的
根拠法 保険業法 農業共同組合法、
消費生活共同組合法など
保険料 男女別、年齢別 原則、同一
割戻金あり
保険金 ニーズに応じて幅広く選べる 比較的少額
商品の種類 相対的にバラエティ豊か シンプルでベーシックな品揃え。死亡保障と医療保障のセットのタイプが多い。