保険会社の安全性はどうやって見抜けばいいの?

経営状態のチェックが必要な時代

「自分が加入している保険会社の経営状態は本当に安全?」みなさんも気になっているのではないでしょうか。バブルの頃までは、誰も信じられなかった保険会社の経営破綻が現実のものとなり、保険会社の経営状態を気にする人が非常に増えてきています。

生命保険は、加年や訓年、あるいは一生涯など長期間の保障を得るものですから、イザというときに、加入していた保険会社がつぶれていては話になりませんね。そこで、長期の保障をまかせられるような、経営状態の安定した保険会社と契約したいと思うのは当然のこと。そのような流れから保険業界でも、保険会社の安全性を見極める指標をディスクロージャー(情報開示)しようという動きが進んでいます。

ソルベンシー・マージン比率でチエックしよう

保険会社の経営状態をはかるひとつの判断材料として、「ソルベンシー・マージン比率」というものがあります。ソルベンシー・マージン比率とは、それぞれの保険会社の保険金の支払い余力を「%(パーセンテージ」で示したもの。支払い余力とは、保険金を支払うための体力がどのくらい残されているか、ということです。具体的なソルベンシー・マージン比率は、500%とか1000%などの数値で、全社の数値が公表されています。当然、ソルベンシー・マージン比率は、数字が大きいほど、支払い余力があるといえます。ただしソルベンシー・マージン比率は、開業してまもない会社の場合は数字が大きくなりがちという傾向があります。

そのためソルベンシー・マージン比率を見るときは、ひとつの参考数値ではあるものの、安全性の順位を決めるものではないと理解しておいたほうがいいでしょう。その反面、ソルベンシー・マージン比率が200%を下回った会社は、保険事業を運営していくのはかなり困難になっているということを、事実としてとらえることができます。現実にはソルベンシー・マージン比率が下がってくると、金融庁から経営状態について監視が付けられたり、厳しい指導を受けることになり、一般的にも「経営状態の危ない保険会社」として認知されてしまいます。

ソルベンシー・マージン比率が低いことが伝わると、解約が進行するなど、ソルベンシー・マージン比率をさらに悪化させる出来事が起き、ますます経営状態は悪くなってしまいます。最悪のシナリオとして、経営破綻に向かってしまうということも考えられます。保険会社の経営状態を知っておきたい場合は、ソルベンシー・マージン比率を調べるとともに、ソルベンシー・マージン比率の変化についても毎年チェックしておくことをおすすめします。

「格付け」も忘れずにチェックしよう

そしてもうひとつ。ソルベンシー・マージン比率のほかに、保険会社の経営状態を判断する大切な基準があります。みなさんも耳にしたことがあると思いますが、もうひとつの判断基準は「格付け」です。格付けとは「AAA」とか「B」のように、アルファベットで表記されるもので、保険会社だけではなく、一般の事業会社でも用いられています。格付けでは、経営状態の安全性、具体的には企業が債券を発行した場合(保険会社は発行していませんが)の、支払いの信用性などを表しています。格付けを発表しているのは、ムーディーズやスタンダード&プアーズなどの格付け機関です。Aが3つ並んでいる「トリプルA」が、格付けの中でも最高のランク。

トリプルAに続く、Aが2つの「ダブルA」は日本生命やソニー生命、アクサ生命、アメリカンファミリー生命、プルデンシャル生命、アイエヌジー生命、東京海上あんしん生命、マニュライフ生命などとなっています(いずれもスタンダード&プアーズ社の格付けによる)・アルファベットの数は同じでも、「十(プラス)や一(マイナス)」の記号が付いている場合があります。

プラスは同じランクの中では少しよい評価、マイナスは悪い評価です。保険会社の経営状態を知りたいときは、ソルベンシー・マージン比率と格付け、この両方で確認するのが、今のところもっとも確実な方法です。格付けはときどき変わりますので、加入している保険会社の格付けは、雑誌の保険記事などでチェックすることをおすすめします。