保険に入るメリット、デメリット

保険に入ることのメリットは主に二つあります。

① 『まさか』 の事態に、預貯金だけでは不足する額をカバーできること
②税制優遇による節税効果

このうち、①は、お金持ちの人には不要です。いざという事態には資産を取り崩せばいいので、あえて保険料というコストを払う必要はないからです。

ただ、持っている資産を次の世代に残す相続対策の一環として、預貯金よりも保険は節税効果が高いことなどから、保険を活用するケースが多いのです。いわば資産防衛に使うわけです。

一方、一般家庭なら、まずは①のメリットのために保険を活用しますね。ちなみに、資産があるほど①の魅力は減っていきます。逆に言えば、保険料負担が重すぎてお金がためられないご家庭は、本末転倒なので要注意です。

なお、②については、まず、支払った保険料について所得控除の恩恵が受けられます。また、預貯金にした場合には、増えた分に対して通常20%分が所得税としてとられてしまうのですが、保険では支払った保険料よりも増えた満期返戻金等は一時所得扱いになるため、50万円以上増えていなければ事実上、非課税になります。また、投資信託など他の金融商品で運用した場合であれば、運用益に対して通常10%または

20%分の税金が差し引かれて再投資となりますが、個人年金保険などの運用益に対しては課税が繰り延べされる(その時点では課税されない)ので、事実上の非課税になります。また、死亡保険金については、一定額までは相続税が非課税になる恩恵があります。

逆に、こうした恩恵を受けられないプランの保険はあまりメリットがないと言えます。ところで、保険には、保険会社の破綻に弱いというデメリットがあります。例えば、銀行が破綻しても、元金1000万円とその利息は預金保険機構で保護されています。

けれども、保険会社が破綻した場合には、最低でも1割がまずカットされます。最悪の場合、半分ぐらいになってしまうケースもある点は要注意です。

貯金がない人が保険に入るとますます貯金ができなくなる!?デメリット

お金持ちの家は、持ち家で、ローンの心配がなかったり、ローンがあったとしても頭金を多く払っていて金利で優遇されていて、ローン返済の負担が軽くてすみ、ローンを組んだあとも暮らしにゆとりがあって、お金がたまります。

お金持ちのお金はどんどん増えていくしくみなのです。保険も同様です。必要に迫られて保険をかけることがないお金持ちは、保険料負担がない分だけ、効率良くお金がたまります。

一方、貯金がない人ほど、足りない分を埋めるために、やむをえず保険に入って保険料を払います。例えば、毎月1万円の保険料なら10年で120万円(=1万円×12カ月×10年間)、同じく毎月2万円なら240万円(=2万円×12カ月×10年間)ものお金を保険につぎ込みますね。すると、貯蓄に回すお金がその分だけ減って、なかなかお金がたまらないという悪循環に陥りがちです。

実は、これが、保険のいちばんのデメリットだと考えます。必要なものに、必要な額だけ、最低限で。この姿勢が、保険と上手に付き合う上でとても大切です。