保険金・給付金が支払われない免責条項をチェックしておこう

保険制度は“公平な危険分担”が大前提にあって、はじめて正常に機能するものです。

一部の契約者だけが利益を得るような不公平な保険金や給付金の支払いがあっては、保険制度が正常に維持できません。また、大数の法則に基づいた予定死亡率を上回るような保険金・給付金の請求が発生したときも(たとえば戦争や大災害)、保険制度維持のためにも対処が必要となってきます。

保険金や給付金が支払われない免責事由は生命保険約款や商法のなかで次のように示されています。免責事由については意外に把握していない方も多く、いざというときに「なんでもらえないの?Jというようなケースがままあります。加入する前にはこうした免責事由についてもひと通りは理解しておく必要があるでしょう。

【死亡保険金の免責事由】

①被保険者が保険契約日または復活日から3年(古い契約は1又は2年)
以内に自殺した場合
②被保険者が犯罪者で死刑執行により死亡した場合
③保険契約者が故意に被保険者を死亡させた場合
④死亡保険金の受取人が、故意に被保険者を死亡させた場合
⑤被保険者が他人に自分を殺すように依頼して殺された場合(保険契約者・被保険者または保険金受取人の故意による致死)

【高度障害保険金の免責事由】

①保険契約者または被保険者の故意により、被保険者が高度障害状態に
なった時
【災害死亡保険金の免責事由】
①保険契約者または被保険者の故意または重大な過失がある場合
②災害死亡保険金の受取人の故意または重大な過失がある場合
③被保険者の犯罪行為による場合
④被保険者の精神障害または泥酔の状態を原因とする事故の場合
⑤被保険者が法令に定める運転資格を持たないで運転して生じた事故の場合
⑥被保険者が法令で定める酒気帯び運転やこれに相当する運転をして生
じた事故の場合

【災害高度障害保険金の免責事由】

①保険契約者または被保険者の故意または重大な過失がある場合
②被保険者の犯罪行為による場合
③被保険者の精神障害または泥酔の状態を原因とする事故の場合
④被保険者が法令に定める運転資格を持たないで運転して生じた事故の場合
⑤被保険者が法令で定める酒気帯び運転やこれに相当する運転をして生じた事故の場合

【災害入院給付金の免責事由】

※災害高度障害保険金の免責事由に加えて次の項目が追加される。
①地震、噴火または津波による場合
②戦争その他の変乱による場合
③頚部症候群(むち打ち症)や腰痛で他覚所見の無い場合

【疾病入院給付金。手術給付金の免責事由】

①被保険者の薬物依存の場合
②保険契約者または被保険者の故意または重大な過失がある場合
③被保険者の犯罪行為による場合
④被保険者の精神障害または泥酔の状態を原因とする事故の場合
⑤被保険者が法令に定める運転資格を持たないで運転して生じた事故の場合
⑥被保険者が法令で定める酒気帯び運転やこれに相当する運転をして生じた事故の場合
⑦地震、噴火または津波による場合
⑧戦争その他の変乱による場合
⑨頚部症候群(むち打ち症)や腰痛で他覚所見の無い場合

※災害死亡保険金、災害高度障害保険金、災害入院給付金については、起因する不慮の事故が発生した日からその日を含めて181日目以降に確定したものは原則保障されません。

【戦争その他の変乱、地震、噴火または津波による場合の特例】

被保険者が戦争その他の変乱、地震、噴火または津波により保険金、給付金などの請求があった場合、これらの請求数の増加が保険数理の基礎に影響を及ぼす時は保険会社はその程度に応じて保険金、給付金等を削減して支払うか、またはその全額を支払わないことがあります。

その際に責任準備金がある場合はそれを支払います。このように保険会社は約款にもとづいてさまざまな場合、保険金を支払わなくて済むようになっているのです。ですから、本来であれば保険会社が約款にもとづいた運営をしている限り、絶対に破綻しないはずなのです。

にもかかわらず、過去において複数の保険会社が破綻していきました。そしてこれからも破綻する保険会社は出てくるでしょう。それらの原因には行き過ぎた利益追求があることを忘れてはいけません。