医療保険は入院、退院、手術等の給付金が出る要件を確認して効率的に入る

手術・入院がなくても給付金は出る。勘違いが多い医療保険の基本

終身タイプと定期タイプの違うところは

医療保険は、商品によって保障範囲がまちまちで、勘違いが見受けられます。どのようなときに給付金が受け取れるのか、しっかり理解しておきましょう。

まず、医療保険には終身タイプ定期タイプ、かあります。終身タイプは保障が一生涯続く商品で、加入したときの保険料がずっと変わらないのが特徴です。しかし、同じ加入年齢で比較すると、定期タイプよりも保険料が高くなる点かデメリットです。

定期タイプは10年、20年など、保険期聞が決まっている商品です。保険期聞が満了したときには、そのまま更新して80歳から90歳まで保障を続けることもできます。同じ加入年齢で比較すると、終身タイプよりも保険料は安くなります。

ただし、更新の時点では、その時点の年齢で保険料が上がるので、更新を続けていくと、トータルで支払う保険料は終身タイプよりも高くなります。

医療保険の基本保障は、「入院」と「手術」です。この2つ以外に特約を付けることで内容が決まります。どのような場合に給付対象になるのかを確かめておきましょう。また、昔医療保険と最新の医療保険では、給付条件が変わってきています。もうすでに医療保険に加入している人は、自分の加入している商品の給付対象が.とうなっているのか、一度、確認しておく、必要があります。

たとえば入院給付金は、入院している日数に応じて給付されるます。以前の医療保険では、入院5日目から給付対象となっているのが一般的でした。つまり、入院しても4日固までは給付金が受け取れなかったのです。しかし、最近の医療保険は、入院1日目から給付対象になるのが一般的です。

手術給付金は、健康保険連動型が増えています。現在、健康保険の対象となる手術は約1000種類ありますが、これらの手術を受けたときに手術給付金が受け取れるものです。一方で従来は、88項目型と呼ばれるタイプで、約600種類の手術が対象となります。どの手術が対象となるかは、契約時に受け取る約款に書かれていますが、契約者にはわかりにくい面もあります。

最近では先進医療もカバーする医療保険が一般的になり、通算2000万円まで保障される商品が多くなっています。特約の保険料は月々100円前後と手軽であることから、付加する人が増えています。しかし、以前は先進医療の保障自体がなかったので、過去に加入した医療保険には保障がついていない可能性がありますので、一度確認をしてみましょう。

  • 医療保険には終身タイプと定期タイプがある
  • 保障内容は「入院」と「手術」が基本となる
  • 昔加入したままの医療保険ではいざというときに役立たないことも

入院、ガンを含む3大疾病も無制限で支払われる保険

生活習慣病の入院は長引く可能性あり

入院、手術、先進医療の3つが最新の医療保険の基本保障となっています。そのうちの入院給付金は、1回の入院で支払われる限度日数が60日になっているのが一般的です。限度日数が60日と短いのは、平均入院日数が年々短くなっているからです。

厚生労働省の「患者調査」(2011年)によると、平均入院日数は32.8日です。たしかに入院給付金の限度日数60日でも多くのケースは不足しないでしょう。しかし、病気の種類によっては入院が長引くこともあります。たとえば、脳血管疾患は平均93日となっています。

そこで、最新の医療保険では、決められた病気の場合は、入院給付金の上限日数を延長する商品が増えています。全部の病気の限度日数を延長するのではなく、一般的な病気は60日に据え置きつつ、入院が長引きがちな病気のみを延長することで、保険料を安くしています。

入院が長くなりがちな生活習慣病の日数を延長

オリツクス生命の「医療保険新CURE」では、がん、心疾患、脳血管疾患の3大疾病では入院日数無制限に、7大生活習慣病のうち3大疾病を除いた糖原病、高血圧性疾患、肝硬変、慢性腎不全は2倍の120日に延長しています。

メットライフ生命の「終身医療保険フレキシイ」や損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「終身医療保険新・健康のお守り」も特約で特定疾病の限度日数を延長することができます。

生活習慣病は、年齢とともにかかる可能性が大きくなりますし、仮に治療が必要になった場合には、年齢が高いほど入院日数も長くなるので、入院給付金の限度日教が長いと安心です。

  • がんを含む3大疾病の入院が無制限に
  • 無制限給付が受けられる疾病の種類を確認しよう
  • 入院期間は短くなる傾向だが、病気によっては入院が長期に

医療共済は日額1万円の入院保障が、月掛金2000円と手頃な掛金

掛金の一部が戻ってくる割戻金

低額の掛金で保障が得られる商品として、根強い人気があるのが共済です。中でも都道府県民共済は医療保障が充実しているという点で定評があります。

下の表は都建府県民共済の生命共済「入院保障2型」の保障内容です。月掛金は2000円で入院給付金は日額1万円です。一般の医療保険では入院給付金の1入院の支払限度回数は60日ですが、都道府県民共済では病気入院で124日、事故入院で184日までが保障されます

先進医療の保障は1万~150万円と一般の医療保険よりも保障が小さくなっていますが、通院や手術の保障もあるので、この共済に加入するだけで幅広い医療保障を確保することできます。

特約を追加することで、さらに保障を増やすことも可能です。たとえば、「新がん1型特約」の18~60歳の保障は、月掛金1000円のプラスでがん診断共済金50万円の保障が得られます。入院共済金も5000円プラスされます。

さらに、がん診断共済金が10プラス、入院共済金が1万円になる「新がん2型特約」もあり、月掛金2000円のプラスで加入できます。この他にも「新三大疾病特約」、「介護特約」などがあります。

また、共済には割戻金という制度があります。もともと共済の運営団体は、営利を目的としていないため、毎年、剰余金が生じた場合、その一部は加入者に割戻金として還付されます。

たとえば、入院保障2型の割戻率は32・64%(2014年度都民共済)でしたから、年間2万4000円の掛金のうち7833円が割戻金として戻ってきた計算です。実質的な月掛金は1350同程度ですんだことになります。

  • 医療共済は入院だけでなく手術や死亡・重度障害の保障もある
  • 月掛金は年齢・性別は関係なく一律なので年配者もお得
  • 利益を目的にしていないので、余ったお金は割戻としてお金が戻ってくる

医療共済は、性別、年齢を間わず一律の掛金

共済は基本的に1年更新で月掛金は性別、年齢が区別がなく、一律です。ただし、共済で保障が得られるのは60~65歳というのが一般的です。

共済も60歳以上は保障額が削減され、65歳以降は、同額掛金の熟年入院2型に自動継続されます。入院給付金は65~70歳が5000円、70~80歳は3500円、80~85歳は2000円と段階的に減っていきます。

75歳以上になると、後期高齢者医療制度により、医療費の自己負担は1割となりますので、不足した場合は貯蓄で賄うと割り切ることもできます。

もし、十分な医療保障を用意したいのであれば、最初から医療保険に加入するか、終身タイプの医療保険と共済を組み合わせて利用するのもよいでしょう。

共済と医療保険の比較

  株式会社 コスト
最低人数 非営利の組合組織 民間の営利団体
加入時の告知 告知のみでOK 告知のみでOK
保険料 月掛金は年齢・性別にかかわらず一律 年齢や性別によって保険料が異なる
保険期間 基本的な保障は60歳または65歳 終身保障も可能
配当 決算で余剰金があれば、割戻金としてもどってくる 無配当保険が増えてきている。運営状況によって配当が出る場合がある。

持病があったとしても緩和型よりも、一般の医療保険を試すのが得

緩和型医療保険と普通の医療保険の保険料の差は、長期で考えると大きい

最近では、持病があっても加入できる医療保険が増加傾向にあります。引き受け基準緩和型あるいは限定告知型と呼ばれるタイプで、従来の医療保険よりも告知項目が緩和されているのが特徴です。これまで、持病があるからと加入をあきらめていた人も、引き受け基準緩和型であれば、加入できる可能性があるわけですが、その分、保険料は高めに設定されています。一般の人よりも病気にかかるリスクが大きいので保険料を同じにすると、不公平が生じるからです。

実際に保険料には、どの程度の差かあるのでしょうか。たとえば40歳男性の場合、普通の医療保険の保険料が日額4260円であるのに対し、引き受け基準緩和型は7980円です。その差は3720円、2倍に近い保険料です。このまま80歳まで支払いを続けると、約179万円の差になります。

持病のある人も、医療保険の告知内容は保険会社によって異なるので加入できる可能性も

医療保険の告知内容は、保険会社によって差があります。A社では加入できなかったとしても、B社では加入できるケースもあります。持病かある場合でもあきらめずに、複数の保険会社の医療保険に申し込んでみれば、加入できる可能性、かあります。保険料負担額の差は大きいので、最初からあきらめずに申し込みをしてみて、加入出来ない時はに、引き受け基準緩和型を検討してみてはいかがでしょうか。

引き受け基準緩和型の医療保険は、加入当初の保障が減額される仕組みになっているのも覚えておきたい点です。一般的には、加入後1年間は、通常の保障額の2分の1になります。